2015.06.22 かわら版『300兆ドル=1円!? ジンバブエの壮絶なインフレの原因は?』

今月11日、ジンバブエ準備銀行(中央銀行)は自国通貨である「ジンバブエドル」を公式に廃止し、銀行口座に残っているジンバブエドルを来週から米ドルに交換すると発表しました。今回の発表によると、米ドルとの交換レートは残高が17.5京(1兆の175000倍)ジンバブエドルまでの銀行口座に対して、受け取るのは5米ドル。日本円に換算すると約620円です。

日本でも札束が紙くず同然になったことで有名なジンバブエドルですが、なぜこのようなインフレに陥ったのでしょうか。今回のかわら版ではそのメカニズムについて経済学の視点から説明します。

そもそも「インフレ」とは持続的な物価上昇のことです。つまり、需要より供給が多いのです。需要と供給の関係では、ほしいという人の割合が多ければ、物の値段は上がります。一旦物の値段が上がると、更に上がるかもしれないから今のうちに買っておこうという人が殺到します。結果的に更に需要が増加し、また物の値段が上がります。これがインフレです。この激しいインフレがジンバブエで起こりました。

ジンバブエは南ローデシアというイギリスの植民地でしたが、1980年に独立しました。このジンバブエのムガベ大統領が経済のことがよくわからないまま国の運営をしていきました。お金が足りなくなると、その分お札を刷ったのです。そのお金で国はなんでも買ってしまいますから、当然インフレになります。

どんどんインフレになれば、商店主たちも物の値段を上げていきます。もちろん、国民の不満は高まります。困ったムガベ大統領は、商品の値段を上げてはいけないという命令を出しました。この命令を受けた商人たちは、「バカバカしくて物が売れるか!」ということで、お店の棚から商品が全て姿を消しました。

その結果、店に何も商品がないという経済の大混乱が起きました。高い値段で買ってくれるなら、こっそり売ってあげるよという闇の経済が広がり、ますますインフレが高まりました。

このジンバブエのインフレはあることで落ち着きました。ジンバブエドルの代わりに米ドルなどの他国の通貨が使われはじめたのです。ジンバブエドルは信用を失い、誰も受け取らなくなってしまった。でも米ドルは信用があったので受け取る人が増えたため、結果として主に米ドルが通貨となりました。

つまり、自国の通貨に対する信頼が失われて行くこと、自国の通貨の価値が下がっていくことがインフレです。先ほど、インフレというのは持続的な物価上昇であると説明しましたが、これをお金の側から見るとお金の価値が下がっているということになるわけです。

余談ですが、今回のジンバブエドルの廃止によって、貨幣コレクターの間ではジンバブエドルの価値が高騰するという奇妙な現象が起こっています。Amazonでは2年前まで1480円だった100兆ジンバブエドルに、現在は、1万8000円の値がついています。これも需要と供給の関係でしょうか。

 

 

 

<引用・出典>

  • 「ジンバブエ・ドル、ついに廃止 壮絶なインフレで300000000000000ドル=1円」、http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/12/zimbabwe-dollar_n_7574706.html
  • 池上彰『池上彰のやさしい経済学2〜ニュースが分かる〜』(2012)、日本経済新聞出版社
  • 「世界のネタ通貨ジンバブエ・ドルがついに廃止、回収へ ネットオークションで100兆ジンバブエ・ドル札が大高騰 – ねとらぼ」、http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1506/17/news110.html

 

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